タイム風呂敷考 さて、ドラえもんの科学、今回は「タイム風呂敷」に挑戦する。
タイム風呂敷自体はそれなりの頻度しか使用されていないが、実はひらりマントやタイムマシンの実現にはタイム風呂敷の原理が必要であることは既に述べたとおりである。
これほどに重要なタイム風呂敷であるが、その原理は非常に難しい。
一つは選択的に未来に進むか過去に戻すこと(包んだもの全てが過去に戻るわけではない。洋服などはそのままである)であるが、これはどこでもドアで説明したとおりの仕組みであると考えることとする。
そうすると残るは時間の移動である。
未来に進むのは簡単で、限定的なタイムマシンであると考えれば問題はない。
過去に戻るにはタイムマシンの話で説明したとおり、ワームホールとウラシマ効果を利用する方法ではタイムマシンは、それが出来た時代より過去に戻ることが出来ない
では、時間を遡るためには何が必要であろうか。

実はこの世は一般に実数の世界と言われている。
実数の世界の逆の世界がこの世の中にあるとすれば、それは虚数の世界である。
虚数というのは例えば二乗して-1になる数である。
このような数は現実には存在していないのだが、電磁気学あたりを大学で習うと出てくる。
さて、この虚数の時間を仮定し、それによって宇宙の創造を説明したのが、かのホーキング博士である。
彼はビッグバンのタイミングに関して虚数時間が実数時間に変わった瞬間であると説明している。
話を戻そう。
虚数空間というのは実数空間の逆の性質を持つため、時間は逆行していると考えられる。
また、虚数の世界が実在する証拠として空間のゆらぎによって発生する反陽子が挙げられる。
反陽子とは反物質の一種であり、通常の陽子とは逆にマイナスの電荷を持つ陽子である。

量子論においては無の状態というのは存在せず、空間は常に揺らいでいると考えられる。
無の空間には突如物質がわきあがり、そして消えていくというのである。
実際に無の世界をミクロレベルで観測すると陽子と反陽子が現れては衝突して消えるのが観測できる。
何らかの方法でこの虚数の空間にアクセスすることが出来れば、タイム風呂敷は時間を遡ることができる。
しかし、反物質は寿命が短く、また周りに存在する物質と触れると消滅する(対消滅)。
よって、反物質をなんらかの方法で隔離する必要がある。
これでタイム風呂敷が何故風呂敷なのかがわかったであろう。

タイム風呂敷は反物質を物質から切り離すために他の空間から切り離す繭(コミューン)なのだ。
タイム風呂敷で包み込まれた物質は繭によって選択的に隔離され、繭は内部に反物質を充填させる。これによって空間は時間を逆行する。
タイム風呂敷を外せば隔離は解放され、そこに過去の物質が現れる。

こうしてまたもや現代の科学は22世紀の科学に迫ったのである。


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