2001/07/25
月の旧名の話4
ずっと続きます。
七月の旧名は「文月」と言います。この月の由来はまったく不明で、一応は七夕の話でちょっと書いたかも知れませんが、昔は七夕に詩歌や書物を奉じる風習があったことからという説が主流なのですが、これは明らかに間違いでしょう。なぜなら七夕の風習は平安時代末期以降にも関わらず、文月の名はもっと前からあったからです。そうすると他の説を見なければなりませんが、これがはっきりしません。稲の穂がふくらみ始める季節であったことから「含月(ふくみづき)」「穂含月(ほふみづき)」の変形説、書籍の虫干しをする風習があったことから「文披月(ふみひろげつき)」の変形説などが有名なようですがどれも有力とは言えません。別名には七夕関係で「七夕月」「七夜月」「棚機月」、七夕をめでる「愛逢月」、秋の始まりということで「秋初月」や「涼月」「冷月」女郎花(おみなえし)が咲くことから「女郎花月」があります。わけわからない系だと「建申月」「桐月(桐は普通十二月)」「蘭月」「親月」「相月」「否月」あたりでしょうか。八月の旧名は「葉月」と言います。この月も説が山ほどあり、しかも有力な説がないというとんでもない月です。旧暦では秋まっさかりですから、葉が紅葉して落ちる月で「葉落月」の変形説、逆に稲穂が張る「穂発(保波利と書くことも)月」変形説や最も葉の生い茂る月だからそのまんま「葉月」説。台風の古語は南風(はえ)というのですが、「南風月」の変形説。渡り鳥の雁が来日することから「初来月」変形説など。実はまだまだあるのですが、とりあえずこのくらいにしておきましょう。さて、この月の別名ですが月見のシーズンなので「月見月」「観月」「壮月」。初来月の由来と被りますが「雁来月」。逆にツバメが去って「燕去月」、秋っぽく「秋風月」「木染月」「紅染月」「桂月」なんてのがあります。また例によって「建酉月」「草津月」「素月」というわけわからない系もあります。
まだまだ続きます。
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