2002/03/21
憲法第七条の話2
続きです。
憲法第七条はあくまで、「戦争」をするな、また、「国際紛争」の解決に「武力による威嚇」や「武力の行使」を使用するなと言っているに過ぎません。これがいわゆる憲法解釈問題となったわけです。何故なら、自衛のための軍隊についての保有を禁じる文章ではないからです。しかも日本国憲法自身が、間接的ではありますが自衛のための軍隊の保有を認める発言をしていることにも注目すべきです。これは日本国憲法前文の第二項および、憲法第十一条〜第十三条にかけての文章がそうです。日本国憲法前文の第二項の一部には「われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭、を地上から永遠に除去しようと努めている国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思う。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免がれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する」とあります。憲法第十一条には「国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる」とあり、憲法第十二条では「この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない」とし、憲法第十三条では「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする」となっています。では、今の憲法殉教者のように憲法第七条を拡大解釈して、あらゆる武力を持たない、としてみましょうか。有事を想定してみましょう。例えばある国が武力による威嚇を伴って専制や隷従を迫った場合にはどうすればいいのでしょう。前文によって「専制と隷従(略)を地上から永遠に除去しようと」しなければなりません。しかし、その結果「国際紛争」になっても「武力による威嚇」や「武力の行使」をしては、ならないことになります。専制と隷従は憲法第十一条の「基本的人権の享有を妨げられ」る行為にも関わらず、それに対する対策として武力を用いないでどうしろと言うのでしょう。
続きます。
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