2002/04/04
近視の話1
テーブルトークには、幅広い読者がいます。中には小さいお子さんを持っている母親もいるようです。子供のために近視を予防しようと「テレビを近くで見るな」なんて言っていませんか?反抗期の子供に「なんで目が悪くなるの?」なんて聞かれて困ったりしていませんか?
さて、いきなりですが、クイズです。今から出す10問のうち、正解は幾つあるでしょうか。「本に著しく近づいて読書すると、近視になる」「テレビに著しく近づいてみていると、近視になる」「薄暗い部屋でテレビを長時間見ると、近視になる」「著しく度の強い眼鏡をかけていると、近視になる」「コンタクトレンズには、近視を矯正する効果がある」「近視は目を頻繁に休ませることで改善する」「近視の原因は、近場での長時間の作業のせい」「近視は目を使いすぎると、悪化する」「テレビの見すぎは、近視になる」。答えは「全て誤り」です。ちなみに最初の6項目は、アメリカの眼科学会が作成したもののアレンジ(元々は「目が悪くなる」というような表現で特に近視と断っていない)です。かなり衝撃的だったのではないでしょうか。では、近視の原因は一体なんなのでしょう。1999年の5月にアメリカのペンシルバニア大学の研究チームが、「生後2年間に寝室の明かりの有無による近視の明らかな優位性」について、驚くべき発表しました。サンプルは眼科に来院した2〜16歳の子供479人で、2歳前に「照明なし」で10%、「常夜灯」で35%、「通常の室内灯」で55%の子供が近視になっていました。このデータだけですと、サンプル数比率が不明(例えば照明ありで寝かす親が照明なしで寝かす親の10倍いたら同じ確率で近視になったとしても照明ありの近視率は照明なしの10倍になる)なのであてにならないのですが、2歳以降の照明と近視率の間にはまったく相関が見られなかったというデータがそれを打ち消しています。また、動物実験では出生後の睡眠中の照明量が多いと、眼球の硝子体と呼ばれる部分が過剰に成長し、焦点を結ぶ位置が変わって近視になりやすいことがわかりました。
続きます。


 

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