2001/08/11
語源の話3
昨日の続きです。
よく、対等であることを「タメ」と言いますが、これに関しては賭博用語の「ため(ぞろ目)」が変化したものという説が最も有力です。つまり「同じ目」から同じという意味になり、ためになったという説です。また、江戸時代の大坂で丁稚に対するお駄賃を「ため」と呼んでいたことから、丁稚などの下級階層の人が使う言葉をタメ口と呼び、それがタメの語源とする説もありますが、当時のための意味や、ためという言葉が使われなくなってから復活するまでの空白時間から考えて、ほとんど考慮する必要のない説でしょう。「いびる」という言葉もかなり古い言葉です。出典までは調べられませんでしたが、もともとは時間をかけてじわじわ熱することをいびると言っていたようです。これはたぶんですが「いぶす」の変化です。また一方では方言としてのいびるも存在しており、こちらは「いじる」とか「もてあそぶ」という意味です。どちらもありえそうな話なので私としては甲乙つけがたい感じがします。ちなみに変化球になりますが、いぶす語源説の中には狸などの獣を穴から追い出すのに火を炊いてその煙を穴に入れ、耐えられなくなって出てきたところを捕まえるというところから、いじめることをさすようになったとする説もありますが、これはちょっと無理矢理じゃないかと思います。「タイマン」という言葉も語源があやふやです。時期的に「ご対面」という言葉で有名な番組があり、恐らく対面するがタイマンするに変化したのだと思います。が、珍説として中国の古典の「対懣」語源説というのを見つけました。「対懣」とは、お互いが向き合って憤ることを意味する古い言葉なのですが、その説の提唱者は、何故憤るが喧嘩するに変わったのか、またどうして「タイマンする」という言葉を使っている不良達が、中国古典を勉強している人ですらほとんど知らない「対懣」という言葉を知っていたのかについては、まったく説明してくれません。
明日に続きます。


 

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