2001/08/24
台風の話1
鳴り物入りで来た割には関東圏はほとんど被害を受けぬままどこかに消えてしまった台風ですが、他の場所では死者まで出ていますから、単純にはよかったと書けませんね。さて、今回のテーブルトークは台風の話です。
まず、台風の発生する理由から行きましょうか。台風は基本的には太平洋の北西あたりの熱帯の海の上で誕生します。誕生するときにエネルギー源になるのは熱エネルギーです。熱帯で海面が暖められると海水が水蒸気になりますが、この水蒸気が雲になる、つまり液体に戻るときに熱エネルギーを放出します。水を肌に塗るとその水が気体になるときに熱を奪うため、腕が冷えますよね。あの現象のちょうど逆になるわけです。台風はこの熱エネルギーを使って誕生します。ではどうしてその熱エネルギーが台風になるのでしょう。昔、理科で習ったド=モルガンの定理に出てきてもらいましょう。PV=nRTという式です。この式は気体の圧力と体積をかけたものは分子量(質量)と温度をかけたものに正比例することを表しています。よって、同じ質量で同じ気圧の気体は温度が高いほど膨張することになります。つまり、同じ体積で同じ気圧なら温度が高いほど質量が減ることになります。暖められた空気というのは冷たい空気よりも軽いことになりますから、軽いものは上に行くことになります。これが上昇気流です。発生した上昇気流は上層で積乱雲(入道雲)を生成し、熱エネルギーを放出し、熱エネルギーが空気を暖めて・・・とエンドレスになります。さて、この積乱雲がまとまると渦を形成するようになります。これは地球の自転の影響です。もう少し細かい説明をしましょう。地球を北極点からから見ると反時計回りに動いているように見えます。この状態で北極点から赤道に向かって線を引こうとすると、線は右に曲がります。積乱雲がまとまって渦ができるのもこの力(転向力という)のせいです。よって北半球で誕生した台風は右に曲げられて反時計廻りを描くことになります。南半球の場合は逆に時計回りの渦となります。
明日に続きます。
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