2001/08/20
遠山の金さんの話2
昨日の続きです。
講談によると景元の祖父の景好は子供が生まれなかったため、親戚から景晋という養子をもらうのですがもらった直後に景善という実子が産まれます。このことに対して負い目を感じた景晋は景善の子供を養子にして後を継がせようとしました。ところが、景善に子供ができる前に先に景晋に子供ができてしまいます。この子供が景元です。当時は長子が跡を継ぐことになっていますので、景晋は自分の子供の出生を届けず、景善に先に出生届を出させ、それを養子にもらった後で景元を届け出ました。ところが後日になって養子にもらった景善の子が真相を知って景元が跡を次ぐべきだと主張し、景元はこの景善の子に跡を継がせるために家を飛び出して放浪するのですが、景善の子が死んでしまったので家に戻って跡を継ぐことになりました。はい。嘘です。事態はもっと複雑なのです。まず、景善が産まれたところまでは本当ですが、景好は景善に跡を継がせたいために景晋を出仕させませんでした。ところが景好が死ぬと、養子とはいえ長男である景晋が跡を取ることになりました。そして景晋は景善、つまり自分の義理の弟を自分の養子にするのです。さて、景善には子供ができますが死んでしまったため、景元、つまり自分の義弟の子供ですから甥を自分の養子にします。ところが景善には更に子供ができてしまいます。これが景寿です。この子が景元の養子になれば面白かったのですが、さすがにそういうわけにもいかず、景善は景寿を他家に養子に出してしまいました。ちょっと人間関係を整理しましょう。景好の養子の景晋は景好の実子の景善を養子にし、景善は景好の実子の景元を養子にしたわけです。つまり実際の継承順は景好、景晋、景善、景元となります。この景晋は景善をすっ飛ばして景元に跡を取らせたいと考えました。そこで景元は自分の叔父である景善に跡を取らせるために出奔するのです。そういうわけで景元は景善が死んでから出仕しますが、出奔しても跡取りが決まった時点ですぐに戻ってきたのではないかと言われています。
明日に続きます。
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